楷書を美しく書くためのもう少し高度な3つのポイント

【3つのポイント】1.一本の線には目に見えない磁場のようなものがあることを絶えず意識する。

point 1  一本の線には目に見えない磁場のようなものがあることを絶えず意識する。

 

「一」

3つのポイント「一」1

*磁場のようなものは、専門的には「字座(じざ)」と言います。

本項の主題とはズレますが、楷書の横画の基本はこの「トン・スー・トン」(三過折という)です。根本や基礎は“骨法(こっぽう)”ともいわれますが、まさに動物の骨のような形をしていますね。竹の形にも似ています。あるいはしっかりとした根があって次にスリムな幹があって葉の大きな群集がある、という植物全般の形にも似ています。

 

 

 

「桂」

木偏の下辺と、最終の横画を揃えると、線に具(そな)わっている目には見えないボリュームの関係で、旁(つくり)が下がって見えます。

3つのポイント「桂」1 3つのポイント「桂」2

 

 

 

「花」
同上。

3つのポイント「花」1

3つのポイント「花」2

 

 

「三田」

「田」を「三」の横幅に合わせてしまうと、当然「田」が異常に大きく見えます。

3つのポイント「三田」1

3つのポイント「三田」2

黒田官兵衛
二行目の《黒田官兵衛の・・・》部分は毛筆フォントですが、
《田》が大きく見えすぎています。
「くろかんべえ」みたいに見えていますね。

フォントは正方形に合わせて作られますので、
そのままで並べてしまうと、
この図版のようになってしまうことが多々あります。

 

 

 

「一朗」
同上。

3つのポイント「一朗」13つのポイント「一朗」2

 

 

「司」

活字(「司」)のように書くと、左側がさみしく見えます。左右のボリュームが釣り合っていないからです。二画目以降をやや左に出すことによって左右の量感が呼応します。

3つのポイント「司」1 3つのポイント「司2」

 

活字「司」ゴシック体
活字「司」(ゴシック体)
活字「司」明朝体
活字「司」(明朝体)
活字「司」教科書体
活字「司」(教科書体)

 

古典「司」(皇甫誕碑)
「司」(欧陽詢「皇甫誕碑」より)

 

 

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活字「前」1

このような観点で、例えば、活字の「前」字を見れば、目には見えないボリュームの関係で(補助線参照↑)、「前」字の下の部分が、三画目の両端よりも張り出しているように見えてしまいます。活字は正方形におさめようとする文字ですので、仕方ないことですが、手書きでは、このような観点を絶えず意識して書きたいものです。

下の画像は、月と刂部分をやや小さくしてみたものです。目には見えないボリュームが、視覚的には、三画目の両端と同じくらいに見えますので、文字の美意識という観点で見れば、こちらの方↓が整って見えますね。ここでは、たまたま「前」字を取り上げただけです。応用できる文字は他にもたくさんあります。書くときは、このようなことを考えてから書かれますと、だんだんと、違和感のない整った文字が書けるようになってきます。

活字「前」2(月とりっとうを縮小)

 

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